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東京地方裁判所 昭和54年(特わ)103号 判決 1979年3月26日

被告人

(一)本店所在地

東京都荒川区東日暮里二丁目二二番七号

株式会社 唐沢製作所

右代表者代表取締役

唐澤一雄

(二)本籍

東京都台東区東上野二丁目七九番地

住居

東京都荒川区東日暮里二丁目二二番七号

職業

会社役員

唐澤一雄

大正一〇年五月四日生

右両名に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官五十嵐紀男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社唐澤製作所を罰金四、〇〇〇万円に、被告人唐澤一雄を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人唐澤一雄に対し、この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社唐澤製作所は、東京都荒川区東日暮里二丁目二二番七号に本店を置き、自転車部分品の製造販売等を目的とする資本金三、〇〇〇万円(昭和五三年三月二五日以前の資本金は二、〇〇〇万円、同五二年三月一〇日以前の資本金は一、〇〇〇万円)の株式会社であり、被告人唐澤一雄は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人唐澤一雄は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一八七、九四八、六四〇円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五一年二月二八日、東京都荒川区西日墓里六丁目七番二号所在の所轄荒川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四二、二一七、九三四円でこれに対する法人税額が一四、三二三、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額七二、六〇五、九〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額五八、二八二、二〇〇円を免れ

第二、昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一七二、七六一、二一〇円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五二年二月二八日、前記荒川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五三、二六三、二六三円でこれに対する法人税額が一八、六二九、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六六、四二一、〇〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額四七、七九一、九〇〇円を免れ

第三、昭和五二年一月一日から同年一二日三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二〇四、五五九、五〇九円(別紙(三)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五三年二月二八日、前記荒川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六五、九三一、一六四円でこれに対する法人税額が二三、三五一、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額七八、七九一、五〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)と右申告税額との差額五五、四三九、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)(甲番号は検察官証拠請求番号を示す)

判示冒頭の事実および全般にわたり

一、被告会社の登記簿謄本(甲27)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書(二通)

一、収税官吏の被告人に対する各質問てん末書(一四通)

一、収税官吏の関谷幸三郎に対する質問てん末書(甲28)

判示各事実添付の別紙(一)、(二)、(三)修正損益計算書に掲げる科目別当期増減金額欄記載の各数額について

<売上>

一、収税官吏大小田耕二作成の売上高調査書(甲1)

<期首在庫品・期末在庫品>

一、収税官吏大小田耕二作成のたな卸高調査書(甲2)

一、唐澤英三作成の昭和五三年一一月一三日付申述書(甲3)

<仕入・外注加工賃>

一、収税官吏大小田耕二作成の架空仕入、架空外注加工賃調査書(甲4)

<従業員給料手当(昭和五一年度、昭和五二年度)>

一、収税官吏大小田耕二作成の従業員給料手当調査書(甲5)

<交際接待費・同損金不算入額>

一、収税官吏大小田耕二作成の簿外交際費調査書(甲6)

一、同じく簿外交際費(その一手帳記載分)調査書(甲7)

一、唐澤一雄作成の昭和五三年一〇月一七日付、一一月四日付、一一月二〇日付各申述書(甲8、9、10)

一、収税官吏須山勇作成の交際費損益不算入額調査書(甲11)

<支払手数料(昭和五〇年度、昭和五二年度)・顧問料(昭和五一年度、昭和五二年度)>

一、収税官吏大小田耕二作成の昭和五三年一一月二七日付支払手数料調査書(甲12)

一、同じく昭和五三年一二月四日付支払手数料調査書(甲13)

<受取利息>

一、収税官吏大小田耕二作成の受取利息調査書(甲14)

一、収税官吏薊勝美作成の預金調査書(甲15)

<価格変動準備金戻入(昭和五一年度、昭和五二年度)・同準備金繰入>

一、大蔵事務官伊藤他喜蔵作成の証明書(甲20)

一、押収してある被告会社の昭和五〇年一二月期、同昭和五一年一二月期、昭和五二年一二月期各法人税確定申告書各一綴(甲29、30、31)

<役員賞与・損金不算入役員賞与>

一、収税官吏大小田耕二作成の役員賞与調査書(甲21)

<寄付金>

一、収税官吏大小田耕二作成の寄付金調査書(甲22)

<事業税認定損>

一、収税官吏大小田耕二作成の事業税認定損調査書(甲23)

別紙(一)、(二)、(三)修正損益計算書に掲げた各公表金額及び過少申告の事実について

一、当庁に押収してある被告会社の昭和五〇年一二月期、昭和五一年一二月期、昭和五二年一二月期各法人税確定申告書各一綴(昭和五四年押第三五〇号符1、2、3)

(いわゆる認定貸付金利息・認定役員報酬について)

検察官の主張する代表者(被告人)に対する簿外貸付金の受取利息として昭和五一年一二月期につき一二、二二六、四五九円、昭和五二年一二月期につき一九、八五三、二七八円のほ脱所得については、被告人の当公判廷における供述によれば、右貸付金の存在は認められず、それは単に被告人において、被告会社の簿外資産を自己のために流用し費消した後、本件査察による脱税の発覚後、国税局係官の指示に基づき事後の処理として貸付金という形式をとつたにすぎず、それは査察官により判明した右個人費消額の前期末残高にすぎない。

従つて、金銭の貸付けという取引が存在しない以上、受取利息の発生する余地はない。

また、これを前提とする同額の役員報酬の生ずることもない。

以上のとおりであるから、検察官の主張する右受取利息額及び役員報酬額はいずれも認めないこととした。

(法令の適用)

被告会社につき

いずれも法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に加重)、二五条一項。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松澤智)

別紙(一)

修正損益計算書

株式会社 唐沢製作所

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

No.1

<省略>

修正損益計算書

株式会社 唐沢製作所

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

No.2

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

株式会社 唐沢製作所

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

No.1

<省略>

修正損益計算書

株式会社 唐沢製作所

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

No.2

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

株式会社 唐沢製作所

自 昭和52年1月1日

至 昭和52年12月31日

No.1

<省略>

修正損益計算書

株式会社 唐沢製作所

自 昭和52年1月1日

至 昭和52年12月31日

No.2

<省略>

別別紙(四)

税額計算書(単位 円)

No.1

会社名 株式会社 唐沢製作所

(1) 自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

<省略>

(2) 自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

<省略>

税額計算書(単位 円)

No.2

(3) 自 昭和52年1月1日

至 昭和52年12月31日

<省略>

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